電動車椅子サッカークラブ 横浜クラッカーズ|Power Chair Football Club Yokohama Crackers
電動車椅子で自在に動き回ったり旋回したりしながら、先端に取り付けた専用のフットガードや電動車椅子の側面、
時には車椅子の背中を使って直径35センチの大きなサッカーボールをコントロールし、パス、シュートをしてゴールを目指します。
運動機能の制約が大きい比較的重度の身体障害者でも、電動車椅子の操作さえできれば楽しむことが出来る数少ないスポーツです。
また競技には性別制限がないため、男女混合で共に試合を楽しむことが出来ます。
ここ数年競技人口が拡大し、2012年度は全国で37チーム、計273名に及ぶ選手が日本電動車椅子サッカー協会に登録しています。
日本電動車椅子サッカー協会のもと、各地域のブロック連絡会に組織化され、
日本選手権やブロック予選などの大会が毎年定期的に行われています。
※詳しくは電動車椅子サッカー協会の公式サイトをご参照下さい。http://www.web-jpfa.jp/
2007年度には世界で初めての電動車椅子サッカーのワールドカップが東京で開催され、
アメリカ、ベルギー、フランス、デンマーク、イングランド、ポルトガル、
そして開催国である日本が初の国際大会に臨みました。(最終順位 優勝:アメリカ、準優勝:フランス、3位:ベルギー、4位:日本)
※詳しくは第一回FIPFAワールドカップジャパン2007公式サイトをご参照下さい。http://web-jpfa.jp/wc/
また2011年には第二回ワールドカップがフランスで開催され、UEFA会長のミッシェル・プラティニ氏による組み合わせ抽選会が行われました。
(最終順位 優勝:アメリカ(2大会連続優勝)、準優勝:イングランド、3位:フランス、5位:日本)
※詳しくはFIPFA国際電動車椅子サッカー連盟公式サイトをご参照下さい。http://fipfa.org/
そして大成功だった二度のW杯の経験とパワーチェアーフットボールという競技が持つ大きな可能性から、
現在では夏季パラリンピックの正式種目登録に向けた動きも世界的に活発になってきました。
このように電動車椅子サッカーは近年、日本国内でも、また世界においても
大きな広がりを持つようになった大変勢いのある競技と言えます。
競技は屋内で行われ、バスケットボールと同じサイズのコート(15m×28m)が使用されます。
使用されるボールの大きさは直径(直径32.5cm)と標準のサッカーボールより大きなボールが使用されます。
電動車椅子に装着するフットガードは金属など硬質なものを使用します。
1チーム4人(内ゴールキーパー1人を含む)から構成されるチーム同士が対戦し、
選手は交代で退いた後でも、アウトオブプレー中に主審の許可を得て何度でも交代してプレーすることが出来ます。
1試合の試合時間は前後半20分間ずつ行われ、合計で40分間行われます。
前後半の間には10分間のハーフタイム(休憩時間)が取られます。
通常のサッカーと同様に電動車椅子サッカーでもPKがあります。
キッカーはゴールから3.5m離れた位置からボールを蹴ります。
国際ルールでは最高速度が10km/h以下、日本国内のルールでは最高速度が6km/h以下と定められています。
電動車椅子の速度確認は試合前に選手一人ずつ行われ、速度オーバーなどの違反があったものは対象の試合に出場する資格を得ることが出来ません。
ボールを保持している競技者1人に対して、相手チームの競技者が2人以上、
半径3メートル以内のエリアに入ってプレーに関与すると「2対1(2-on-1)」という反則が取られます。
但し相手チームの2人の内の1人が自陣ゴールエリア内にいるゴールキーパーの場合は、
「2対1(2-on-1)」の反則にはなりません。
その他の反則として相手のバンパー以外の部分にぶつかるチャージ、進路妨害をするオブストラクションがあり、
これらの行為を何度も繰り返し行なったり、相手に怪我をさせる恐れのある危険行為には
警告(イエローカード)が出され、一試合中に警告を二回受けると退場(レッドカード)になります。
一度退場処分を受けるとその場で試合からの退場となり、その試合に継続して出場することは出来ません。
(以上の説明はポイントをわかりやすくまとめたものですので、詳細や正式な競技の規定については
日本電動車椅子サッカー連盟、競技規則をご確認下さい)
電動車椅子サッカーでは先端のフットガードや電動車椅子の側面を使ってボールをコントロールしますが、
サッカーの足のように自由に動かしてボールをトラップしたり止めたり変化をつけてキックしたりすることができないので、
ボールのコントロールが大変難しくなります。(フットガードは電動車椅子に固定しますのでふっとガードそのものを動かすことはできません。
トラップもキックもすべて電動車椅子の前後左右への動きや旋回の動きだけによってボールにタッチします)
それだけに、電動車椅子の限られたスピードの中で、いかにボールをはじかずに自分でキープしていけるか、
一瞬のボールコントロールやドリブルの技術がポイントになってきます。
2005年以前、日本国内で採用されていたルールでは「ボールや人への競り合いに関与出来る人数の制限」がなかったため、
ボールをセットしない流れの中でのキックやトラップが困難でしたが、
2006年に国際ルールに準拠したレギュレーションに変更(主に2オン1ルールの採用)されてから、
通常のサッカーのように人から人へパスがつながりシュートをするという場面がより多く見られるようになってきました。
そのため選手には「ボールを扱うためのより高度なテクニックスキル、ゲーム全体を見渡す視野や次の展開の予測」が
以前よりさらに要求されるようになってきたと言えます。
(2006年以前のルールでも電動車椅子サッカーの魅力を充分にアピール出来るものでしたが、
現在の電動車椅子サッカーとは少し異なり、「人対人の人数制限が無い」というルール上、
ラグビーのようにスクラムを組むような状態からの展開や、スクリーンプレーを多用してゲームを展開する場面が多く見られました。)
新ルールが採用されてからある程度時間が経過した現在では、ゲーム全体の成熟度が上がり、素早いパスからの展開、パスからのダイレクトシュート、
1対1のスリリングな駆け引きやテクニカルなドリブル場面が増え、よりスピーディでクリエイティブな展開でのゲームが繰り広げられるようになっています。
またフリーキックやコーナーキックなどのセットプレーでは、トリックプレーなどの多彩なコンビネーションや
回転キックからの強烈なシュートが直接ゴールを落とし入れる場面も見られ、電動車椅子サッカーの大きな見所でもあります。
(会場で直接電動車椅子サッカーを観戦して頂ければ、その面白さに魅了されるはずです!)
日本には全国各地に電動車椅子サッカーのクラブチームが存在しますが、それぞれのチームがより魅力的なサッカーを披露するために、
日々新しいフォーメーションや戦術を研究し、次の戦いに向けての鍛錬をしています。
ゲームの行方を左右する上で個の技術だけではなく、チームが採用するフォーメーションや戦術が試合の行方を大きく左右するため、
それぞれのチームがどんな戦術で戦いに臨むのかここに注目して観戦するのも大変面白いところです。
ゲームに出場する4人のうち1人はゴールキーパーとしてプレーしますが、
攻撃力を上げるためにゴールキーパーまで常時オフェンスに参加するオフェンシブな戦術を採用するチーム、
チーム1のテクニシャンを活かすために、その選手を活かすための独創的な戦術を採用するチーム、
オフェンスとディフェンスの比重が偏らないように、個の力に頼りすぎないようにバランスよく選手を配置するバランス型のチーム、
守って守って1発のカウンターに神経を研ぎ澄ませるチームなど、電動車椅子サッカーではたくさんの戦術を目にすることが出来ます。
また、キックイン、コーナーキック、フリーキックなどのセットプレー時のフォーメーションや動きのパターンもチームにより様々で、
注目して見ることによってその工夫がわかるのも電動車椅子サッカーの面白いところです。